マウスピース(スプリント)治療の弊害マウスピース(スプリント)治療の弊害

マウスピース(スプリント)治療の弊害

日本では多くの歯科医師が、顎関節症治療にマウスピースを利用するスプリント治療を勧めます。マウスピースは歯を削ることはないので、症状の改善がなかった場合はマウスピースの装着を中止すれば良く可逆的な処置とされ推奨されています。

それは本当でしょうか。歯の周りには歯周組織があります。歯周組織は歯肉、歯根膜、歯槽骨、セメント質から成る組織で、歯を咬み合わせた際の力を骨と歯根膜で受け止め、分散することで、歯を支えお口を守っています。
しかしマウスピースを装着すると、どうなるでしょうか。マウスピースを装着することで歯全体が一つに固定されてしまいます。そうすると本来、歯と歯の周りの歯周組織が持っていた力を分散する機能が阻害されます。分散されない力はそのまま歯や顎へと直接伝わります。

顎関節症のマウスピース長期使用は歯や顎に負担をかけ、名取歯科医院にいらした方には、他院で顎関節症のマウスピース治療(スプリント治療)を長年続けた結果、顎を痛め症状が悪化したという患者さんもみられます。

名取歯科医院では、顎関節症治療にマウスピースを原則使用しません。咬み合わせがきちんと均等に力を分散できるよう、歯を削る(咬合調整)を基本治療としています。咬み合わせは顎関節の状態によって歯の位置が影響されるため、そのバランスが変化した場合には歯を削ることで調整をする必要があるからです。

そのために事前に歯科用CTや医科用MRIを利用して顎の診断を行い、デジタルの咬み合わせの診断機(T-スキャン)を活用した診査診断をおこないます。患者さんの中には歯を削ることに対して抵抗感を持つ方もいらっしゃいますが、名取歯科医院では希望しない方に無理に咬合調整を勧めることはありません。顎関節症治療は患者さんがしっかり理解し、ご納得頂いた上で進めるものと考えています。