院長紹介院長紹介

略歴

1991年日本歯科大学新潟歯学部 卒業

1993年東京医科歯科大学研修医 修了

1993年名取歯科医院に勤務

2003年スウェーデンイエテボリ大学顎顔面外科留学

日本大学歯学部麻酔科研修

2008年医療法人 健明会 設立

所属

日本口腔インプラント学会 専門医 第1212号

Center for Neural Occlusion Member

日本歯内療法学会会員

日本顕微鏡歯科学会会員

CNO(Central Neural Occlusion) Member / USA

日本歯科医師会会員

総合インプラント研究センター理事

私と顎関節症

名取歯科医院の院長名取健寿です。私の顎に自覚症状があらわれたのは、今から約30年前で口を開けるたびに「じゃりじゃり」と音がし始めました。痛みは無かったものの時間の経過とともに今度は「ボキボキ」という音に変化しました。顎の音に違和感を感じて知り合いの歯科医師に相談したり、大学病院の口腔外科を受診しましたが、どこに行っても「時間が経てば治る」とか「湿布をしておけば良い」であったり、「何もする必要が無い」とまで言われました。

しかし原因があってこのような症状に至っている訳ですから、自分自身の顎関節症がきっかけとなり専門書を読み漁り、インターネットを探し回りました。今では顎関節症治療への理解を私も深めましたが、当時は情報もなく歯科医師の私自身が非常に悩んだことを鮮明に覚えています。

顎関節治療で有名な歯科医師を訪ね歩き治療しましたが、結果は思わしいものではありませんでした。ある歯科専門誌で顎関節症の講演がアメリカであると知り視点を変えてみようと、迷わずサンフランシスコで行われる顎関節症の講演会に参加しました。それまで日本の講演会にしか参加したことがなかった私は、講演会の雰囲気やアメリカの歯科医師の情熱に日本のそれとは全く違う印象を受けました。

今でも日本では顎関節症治療で歯を削ってはいけないというガイドラインがあります。しかしある条件を満たし、正確に評価できる環境下であれば歯を削って調整をした方が有意義に結果に繋がるという内容でした。その講演会で知り合った日系アメリカ人の歯科医師と顎関節症の話しで意気投合し結局、その歯科医師に私の顎関節症を治療してもらい改善しました。

顎関節症治療を学び、そして患者として自身が受けた治療では、今まで「歯を削ってはいけない」と教えられてきた私にとっては衝撃的でした。

その当時と決定的に違うのは、現在は診査診断に使う機器が進歩し完全にデジタル化に進んでいる点です。顎関節治療もMRI・歯科用CT・デジタルレントゲン・筋肉の動きを把握する筋電計・咬み合わせを測るデジタル測定機と、顎関節症治療には最低限これだけのものが必要な時代だと感じます。

デジタルによる顎関節症治療(DTR Therapy)に気づかされたのも自身の経験です。お話ししたように 10年ほど前に渡米して治療を受けましたが、年齢を重ねると自然に歯がすり減ったり、無意識の癖がついたり、ちょっとした打撲などで顎関節の位置は変化します。治療してくれたドクターがリタイアしてしまったこともあり、その後の変化で再び違和感を感じてきた私はインターネットで情報収集をはじめました。

そして偶然見つけた Youtube の動画に目を奪われました。10年前はデータ取得といっても手間隙をかけたアナログ作業でしたが、遙かに高い精度のデータをデジタルで、それも殆どインハウス(院内完結)でおこなっていたのが、
NICK YIANNIOS (ニック ヤニオス) でした。メールでのやり取りを経て、2017年に渡米して自らが医師と患者の両面でニックの治療を体験し、私の顎関節症は正常といえる状態まで回復しました。

このように体系に沿った咬合論とデジタル機器を使う事によって、顎関節症治療にパラダイムシフトとも言える進化がおこり、そのメリットを患者さんに還元することができます。
私たち歯科医師だけではなく、患者さんも治療の経過を客観的に理解するためにデジタルでのデータの蓄積がこれからは治療の鍵になってくるのではないでしょうか。問題が起きる前に歯とお口の将来を予測する事が、顎関節症のみならず歯の健康に繋がると考えています。