顎関節症と耳の不調顎関節症と耳の不調

顎関節症と耳の不調

「顎関節症」と聞くと、顎の痛みや咬合不正が主な症状と思われるかもしれません。しかし、患者さんを診ていると、顎の他にも様々な体の不調に悩まされている方も多いです。

東京からいらっしゃった患者さんの症例をご紹介します。顎関節症と咬合不正に加え、耳管閉塞症や三半規管の乱れといった耳の異常に20年もの間悩まされていました。
長年、近隣にある複数の歯科医院を渡り歩く形で通院されていましたが、顎関節症と噛み合わせが全く改善されないという事で、当院にご来院されました。

検査を行ったところ、噛み合わせの調整だけでは治らないと判断し、矯正治療を行ってからデジタル機器を使用して噛み合わせの調整を行いました。
治療前、治療後の画像です。

治療前

治療後

見た目の違いはほとんど分かりませんが、噛み合わせもDTRのようなデジタル機器を使うと画像のように可視化されます。特に前歯部分が空白になっていて、ほとんど噛み合っていないのが分かります。

そして治療後、患者様にとって大きな変化がありました。
なんと、歯科治療後に耳管閉塞症や三半規管の乱れが全くなくなったとのことです。
これには耳鼻科の先生や、もちろん私も驚きました。

内耳の異常で耳鳴りやめまいの発作が起こるメニエール病がDTRで改善する事例は2022年に発表されました*が、耳管閉塞症と顎関節症の関連は、今の所医学的なエビデンスはありません。
しかし顎関節を中心に治療をしていくと、噛み合わせだけでなく身体の他の部分も改善される例があるのは驚くべき事です。

*Meniere’s Disease Patients Treated with Disclusion Time Reduction (DTR): A Retrospective Cohort Study of 86 Patients(2022)